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最終更新日 2001.7.23

オフィス街(黄)

解雇予告

解雇予告手当の支払
解雇予告手当の計算方法
解雇予告をしなくてもいい場合
解雇を法違反なく行うためには


解雇予告手当の支払

解雇については、労働基準法第20条で規定されています。

労働基準法第20条

 
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、
少なくとも30日前にその予告をしなければならない。
 30日前に予告をしない使用者は、
30日分以上の平均賃金を支払わなくてはならない。

 但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
又は労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りでない。
 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払った場合においては、
その日数を短縮することができる。
 前条第2項の規定(注:これは「・・その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。」
との規定をさします。
)は、
第1項但書の場合にこれを準用する。

つまり、

解雇には予告が必要です

予告期間は、少なくとも30日

予告に代えて解雇予告手当を支払うことも可能です


以上が
労働基準法の原則です

例外があります

それは
労働者の責めに帰すべき事由に基づく解雇などです
でも、これは使用者の勝手判断は許されていません。
あらかじめ
所轄労働基準監督署長の認定(
解雇予告除外認定申請)を受けなければなりません。

★予告は口頭でも差し支えありませんが、
  明確に伝えるためには文書で行う方が確実です。
★条件付き解雇予告は、適法な解雇予告とは
  取り扱われません。
★一旦した解雇は、一方的に撤回できません。
(相手方の同意が必要となります)
★解雇予告手当は、
解雇と同時に支払わなければなりません。
★支払場所は、特別の定めがない限り、
通常の賃金の支払いの場所に準じて取り扱います。
(通常の賃金支払が
事務所で現金の場合は、それに準じ、
口座振込の場合は、それに準じます。)

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解雇予告手当の計算方法


解雇には少なくとも30日前の予告が必要ですが、

予告に代えて解雇予告手当として、平均賃金相当分を
支払うことも可能です


☆平均賃金は、その労働者の過去3カ月間の賃金の総額
賃金の性格を持つものは諸々の手当を含め全て算入した税・社会保険料等控除前の賃金総額)を、
その3カ月間の総日数(暦日数)で割った金額です。
(労基法第12条に詳細な計算方法が定められています。)

31日締め翌月5日払いの企業で、7月17日に即時解雇が行われた場合の
30日分の解雇予告手当の計算方法は下記の通りです。

直前の賃金締め切り日(6月30日)から過去3ヶ月分の賃金総額
すなわち
3ヶ月分の賃金総額(4月分+5月分+6月分)
      −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− × 30日
3ヶ月の歴日数(30日+31日+30日)

   

☆予告をしても、予告期間が30日より短い場合は、
予告日数が足りない分だけ平均賃金を支払わなければなりません。

全く予告
しない場合
30−0=30日分の
平均賃金支払の義務
10日前に
予告した場合
30−10=20日分の
平均賃金支払いの義務


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解雇予告をしなくてもいい場合

解雇予告をしなくてよいケースには、3種類あります

1.短期雇用労働者の場合

 次の4つに該当する労働者を解雇する場合は、
予告または解雇予告手当の必要はありません。(労働基準法第21条)

 (1)日々雇い入れられる者
 (2)2カ月以内の期間を定めて使用される者(期間延長した場合を除く。)
 (3)季節的業務に4カ月以上の期間を定めて使用される者(期間延長した場合を除く。)
 (4)試の使用期間中の者(使用期間が14日を超えた場合を除く。)


2.天災事変の場合

 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合は、
予告または解雇予告手当の支払いをせずに即時に解雇することができます。
ただし、所轄労働基準監督署長の認定を受けることが必要です。


3.労働者の責に帰すべき事由がある場合

 労働基準法第20条第1項の但書にあるとおり、
「労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合」には、
予告又は解雇予告手当の支払いの必要はありません。
 ただし、所轄労働基準監督署長の認定を受けることが必要です。

「労働者の責に帰すべき事由」とは、労働者の故意、過失又はこれと同視すべき..事由ですが、
判定に当たっては、労働者の地位、職責、継続勤務年限、勤務状況等を考慮の上、
総合的に判断すべきであり、「労働者の責に帰すべき事由」が
法第20条の保護を与える必要のない程度に
重大又は悪質なものである必要があります。

労働者の責めに帰すべき事由として認定されるべき事例
(1) 原則として極めて軽微なものを除き、事業場内における盗取、横領、
傷害等刑法犯に該当する行為のあった場合。
 また、一般的に見て「極めて軽微」な事案であっても、使用者があらかじめ
不祥事件の防止について諸種の手段を講じていたことが客観的に認められ、
しかもなお労働者が継続的に又は断続的に盗取、横領、傷害等の刑法犯
又はこれに類する行為を行った場合、あるいは事業場外で行われた盗取、
横領、傷害等刑法犯に該当する行為であっても、それが著しく当該事業場の
名誉若しくは信用を失墜するもの、取引関係に悪影響を与えるもの又は
労使間の信頼関係を喪失せしめるものと認められる場合。
(2) 賭博、風紀素乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ほす場合。
また、これらの行為が事業場外で行われた場合であっても、
それが著しく当該事業場の名誉若しくは信用を失墜するもの、
取引関係に悪影響を与えるもの又は労使間の信頼関係を喪失せしめるものと認められる場合。
(3) 雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合及び雇入れの際、
使用者の行う調査に対し、不採用の原因となるような経歴を詐称した場合。
(4) 他の事業場へ転職した場合。
(5) 原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合。
(6) 出勤不良又は出欠常ならず、数回にわたって注意を受けても改めない場合。
以上のようなものになりますが、認定に当たっては、
必ずしも上記の個々の例示に拘泥することなく総合的かつ実質的に判断されます。

 なお、就業規則等に規定されている懲戒解雇事由についても
これに拘束されることはないこととされています。
(昭和23.11.11 基発第1637号、昭和31.3.1 基発第111号)

 労働基準監督署長は、解雇予告認定申請書が提出された場合は、所要の調査を行い、
上記の認定基準に照らして、「労働者の責に帰すべき事由」があると判断した場合は、
認定を行います。
労働基準監督署にもよりますが、認定まで2週間以上かかるケースが多いようです。

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解雇を法違反なく行うためには

30日前に予告するか、
解雇予告手当を支払う。


*労働者の責めに帰すべき事由等がある場合は・・・

◎認定を受けて行う即時解雇
◎認定申請をした後即時解雇し、その後認定があった場合

*次の場合は、解雇予告手当を支払わない限り「労働基準法違反」となります。
●認定申請をしていない場合
解雇予告手当
平均賃金の30日分以上)を支払う
 OK
解雇予告手当
平均賃金の30日分以上)を支払わなかった
労働基準法違反!

●認定申請をした後即時解雇し、その後不認定となった場合
解雇予告手当
平均賃金の30日分以上)を支払う
 OK
解雇予告手当
平均賃金の30日分以上)を支払わなかった
労働基準法違反!

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